株式を公開するには、まず証券取引所の公開審査基準である形式基準を満たした上で、実質基準に基づく審査をクリアする必要があります。
形式基準は公開市場の区分により分かれており、東京証券取引所では、市場第一部、市場第二部、マザーズ及びJASDAQの4つの市場区分から、2022年4月4日にプライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つの市場区分へ見直すことになりました。
コンセプト
公開市場 | プライム | スタンダード | グロース |
コンセプト | グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場 | 投資対象として十分な流動性とガバナンス水準を備えた企業向けの市場 | 高い成長可能を有する企業向けの市場 |
形式基準
公開市場 | プライム | スタンダード | グロース |
株主数 | 800人以上 | 400人以上 | 150人以上 |
時価総額 | 250億円以上 | 10億円以上 | 5億円以上 |
収益 | ・最近2年間の利益が25億円以上 又は ・売上高が100億円かつ時価総額1,000億円以上 |
最近1年間の利益が1億円以上 | - |
財政状態 | 純資産50億円以上 | 純資産が正であること。 | - |
公開市場 | 東証一部 | 東証二部 | マザーズ |
株主数 | 800人以上 | 400人以上 | 150人以上 |
時価総額 | 250億円以上 | 10億円以上 | 5億円以上 |
収益 | ・最近2年間の利益が25億円以上 又は ・売上高が100億円かつ時価総額1,000億円以上 |
最近1年間の利益が1億円以上 | - |
財政状態 | 純資産50億円以上 | 純資産が正であること。 | - |
実質基準
実質基準では、公開会社として会社の実態がふさわしいかどうか審査されます。
市場ごとに多少違いますが、具体的な例として①継続して利益を計上する見込みがあるか②不当な取引を行っていないか③法令違反をしていないか、人員・会計処理が適切か④開示書類を適正に作成しているか⑤反社会的勢力の関与の防止に努めているか等について判断されます。
公開市場 | プライム・スタンダード |
有価証券上場規程第 207 条、213 条 | 上場審査等に関するガイドラインⅡ 2~6、Ⅲ 2~6 |
①企業の継続性及び収益性
継続的に事業を営み、かつ、安定的な収益基盤を有していること。 |
事業計画が、そのビジネスモデル、事業環境、リスク要因等を踏まえて、適切に策定されていると認められること。 |
今後において安定的に相応の利益を計上することができる合理的な見込みがあること。 | |
経営活動が、安定かつ継続的に遂行することができる状況にあること。 | |
②企業経営の健全性
事業を公正かつ忠実に遂行していること。 |
関連当事者その他の特定の者との間で、取引行為その他の経営活動を通じて不当に利益を供与又は享受していないこと。 |
役員の相互の親族関係、その構成、勤務実態又は他の会社等の役職員等との兼職の状況が、公正、忠実かつ十分な業務の執行又は有効な監査の実施を損なう状況でないこと。 | |
(申請会社が親会社等を有している場合)親親会社等からの独立性を有する状況にあること。 | |
③企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること。 |
役員の適正な職務の執行を確保するための体制が、適切に整備、運用されている状況にあること。 |
内部管理体制が適切に整備、運用されている状況にあること。 | |
経営活動の安定かつ継続的な遂行及び適切な内部管理体制の維持のために必要な人員が確保されている状況にあること。 | |
実態に即した会計処理基準を採用し、必要な会計組織が、適切に整備、運用されている状況にあること。 | |
法令遵守の体制が適切に整備、運用され、重大な法令違反となるおそれのある行為を行っていない状況にあること。 | |
④企業内容等の開示の適正性 企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること。 |
経営に重大な影響を与える事実等の会社情報を管理し、当該会社情報を適時、適切に開示することができる状況にあること及び内部者取引等の未然防止体制が適切に整備、運用されていること。 |
企業内容の開示に係る書類が法令等に準じて作成されており、かつ、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項や、主要な事業活動の前提となる事項について適切に記載されていること。 | |
関連当事者その他の特定の者との間の取引行為又は株式の所有割合の調整等により、企業グループの実態の開示を歪めていないこと。 | |
(申請会社が親会社等を有している場合)親会社等に関する事実等の会社情報を、投資者に対して適時、適切に開示できる状況にあること。 | |
⑤その他公益又は投資者保護の観点から必要と認める事項 | 株主の権利内容及びその行使の状況が公益又は投資者保護の観点で適当と認められること。 |
経営活動や業績に重大な影響を与える係争又は紛争等を抱えていないこと。 | |
反社会的勢力による経営活動への関与を防止するための社内体制を整備し、当該関与の防止に努めていること及びその実態が公益又は投資者保護の観点から適当と認められること。 | |
その他公益又は投資者保護の観点から適当と認められること。 |
公開市場 | グロース |
有価証券上場規程第 219 条 | 上場審査等に関するガイドラインⅣ |
①企業内容、リスク情報等の開示の適切性
企業内容、リスク情報等の開示を適切に行うことができる状況にあること。
|
経営に重大な影響を与える事実等の会社情報を管理し、当該会社情報を適時、適切に開示することができる状況にあること。また、内部者取引等の未然防止に向けた体制が適切に整備、運用されていること。 |
企業内容の開示に係る書類が法令等に準じて作成されており、かつ、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項、リスク要因として考慮されるべき事項、事業計画及び成長可能性に関する事項について投資者の投資判断上有用な事項、主要な事業活動の前提となる事項について分かりやすく記載されていること。 | |
関連当事者その他の特定の者との間の取引行為又は株式の所有割合の調整等により、企業グループの実態の開示を歪めていないこと。 | |
親会社等を有している場合、申請会社の経営に重要な影響を与える親会社等に関する事実等の会社情報を申請会社が適切に把握することができ、かつ、投資者に対して適時、適切に開示できる状況にあること。 | |
②企業経営の健全性
事業を公正かつ忠実に遂行していること。 |
特定の者に対し、取引行為その他の経営活動を通じて不当に利益を供与又は享受していないこと。 |
親族関係、他の会社等の役職員等との兼職の状況が、役員としての公正、忠実かつ十分な職務の執行又は有効な監査の実施を損なう状況でないこと。 | |
親会社等を有している場合、申請会社の経営活動が親会社等からの独立性を有する状況にあること。 | |
③企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が、企業の規模や成熟度等に応じて整備され、適切に機能していること。 |
役員の適正な職務の執行を確保するための体制が、適切に整備、運用されている状況にあること。 |
経営活動を有効に行うため、その内部管理体制が相応に整備され、適切に運用されている状況にあること。 | |
経営活動の安定かつ継続的な遂行及び適切な内部管理体制の維持のために必要な人員が確保されている状況にあること。 | |
実態に即した会計処理基準を採用し、かつ会計組織が適切に整備、運用されている状況にあること。 | |
法令等を遵守するための有効な体制が適切に整備、運用され、また最近において重大な法令違反を犯しておらず、今後においても重大な法令違反となる恐れのある行為を行っていないこと。 | |
④事業計画の合理性
相応に合理的な事業計画を策定しており、当該事業計 |
事業計画が、そのビジネスモデル、事業環境、リスク要因等を踏まえて、適切に策定されていると認められること。 |
事業計画を遂行するために必要な事業基盤が整備されていると認められること又は整備される合理的な見込みがあると認められること。 | |
⑤その他公益又は投資者保護の観点から必要と認める事項 | 株主の権利内容及びその行使の状況が公益又は投資者保護の観点で適当と認められること。 |
経営活動や業績に重大な影響を与える係争又は紛争等を抱えていないこと。 | |
主要な事業活動の前提となる事項について、その継続に支障を来す要因が発生していないこと。 | |
反社会的勢力による経営活動への関与を防止するための社内体制を整備し、当該関与の防止に努めていること及びその実態が公益又は投資者保護の観点から適当と認められること。 | |
その他公益又は投資者保護の観点から適当と認められること。 |